fMRI実験

fMRIとは

fMRIとは、機能的磁気共鳴現象画像法(functional Magnetic Resonance Imaging)と呼ばれる方法の略称です。一般的には、装置内で実験課題をおこなってもらい、実験課題に関連した脳活動に結果としておこる血流の変動をMRIにより記録し解析することで、課題に関連した脳機能を担う領域を同定する研究手法です。

MRI装置の安全性について

fMRI実験で利用されるMRI装置は、磁気を用いてヒトの体を傷つけることなく任意の部位の画像を鮮明に撮ることができる装置として、1980年代より急速に発展してきました。MRI画像の撮影原理は、強力な磁石の中に入っていただいた状態で、体外からFMラジオに近い周波数(約89MHz)の電波をかけ、それにともなう組織中の磁気の変化を記録/解析することで、体を輪切りにしたようにしたような画像として記録するものです。

強力な磁場と電波のみを利用し、レントゲン検査で用いられるようなX線は利用しておらず、放射線被ばくの心配は全くありません。ただし利用する磁場は非常に強く、本研究ユニットが利用するMRI装置は、3もしくは7テスラの磁場を発生します。3テスラのMRI装置(理化学研究所 Siemens Prisma;生理学研究所 Siemens Verio)は、通常の医療診断に用いる臨床用の装置です。また7テスラMRI装置(理化学研究所 GE)は、通常の医療診断に用いる装置とほぼ同じですが、現時点では日本国内では臨床用に利用することはできません。ただし米国のFDA(Food and Drug Administration; アメリカ食品医薬品局)の指針では、ヒト計測に対し8テスラまでの磁場強度を持つ装置の利用を認めています。米国および欧州では、2017年より頭部と四肢に限り、7テスラ装置の臨床現場への利用が認可されています。

MRIは30年を超えて臨床応用されていますが、生体に明らかな害を及ぼす現象は知られていません。しかし、たとえば撮影の数十年後に全く影響が出ないという確証はありません。また医学の進歩により、現時点で発見しえない問題が将来的に明らかになる可能性もあります。そのような現時点では予見しえない長期的な影響の可能性を懸念される場合は、実験への参加を見合わせていただくほうが良いと思われます。

起こりうる不快な状態およびその対策

騒音

MRI装置は、撮影中に非常に大きな騒音を発生します。この影響を軽減するため、耳栓、イヤーマフ、ヘッドフォンを利用して防音を図ります。三半規管の刺激にともなう不快感:強い磁場を発生している装置の周りを急激に移動する場合、めまい、吐き気、発汗などの生理的現象が起こる場合があります。これは磁場内で動くことにより、三半規管が刺激されることにより起こり、動きを止めることですぐに収まります。不安や不快を感じた場合、またいつまでも症状が治まらない場合は、スタッフにすぐに申し出てください。

火傷

撮影中に手や足を組むと、ピリピリした感触を皮膚に感じ、ひどい場合には軽度の火傷を起こしうることが報告されています。装置内では手足を組まないようにしてください。

実験方法の概略

一般的には、MRI装置内でミラー越しに画面(スクリーン)をみながら、その内容に基づいて何らかの行動(たとえばボタン押し)をしていただき、その際の脳活動をfMRIで記録させていただきます。

何をしていただくかの詳細は実験ごとに異なります。実験参加に応募していただく際には、記載されている内容をよく読んでから応募してください。